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「住田海事賞三賞」 受賞者決定のお知らせ
2023年度「第55回 住田海事賞三賞」決定
「海難事例」と「海洋建築」 学びの道標となる2冊に決定 |
一般社団法人日本海運集会所
住田海事奨励賞管理委員会
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第55回「住田海事賞三賞」が12月1日に発表された。この賞は、海事全般に関する専門図書を表彰する「住田海事奨励賞」、海事史に関する専門図書を対象とする「住田海事史奨励賞」、舶用・造船関係および広く海事技術に関わる専門図書または論文から選ばれる「住田海事技術奨励賞」で構成される。
日本海運集会所の住田海事奨励賞管理委員会で各賞の候補作について検討した結果、「住田海事奨励賞」には「海難事例分析 安全運航へ向けて」(関根博 著)が、「住田海事技術奨励賞」には「海洋建築シリーズ 海洋建築序説」(海洋建築研究会 編著)が選ばれた。海事史奨励賞は応募がなかった。
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授賞式は11月13日に日本海運集会所で行われ、関根博氏と海洋建築研究会の増田光一氏にそれぞれ賞状と賞金が授与された。
住田海事賞は、海運、造船事業に長く従事する傍ら、海事資料の刊行や廻船式目の研究などを通じて海事文化の発展に広く寄与した故・住田正一氏の功績を記念して創設された。ご子息の住田正二氏(元運輸事務次官、元JR
東日本相談役)が1969年に「住田海事奨励賞」を創設し、2002年に「住田海事史奨励賞」が、08年に「住田海事技術奨励賞」が設けられた。
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左から 関根 博 様、増田 光一様 |
◆住田海事奨励賞
関根 博 著
『海難事例分析 安全運航へ向けて』
体裁:A5判/ 270頁 定価:3,960円(税込) 発行:海文堂出版
本書は、過去の海難事故から現代および将来に通ずる示唆や教訓を得るべく、様々な海難事例について解説した実務書である。日本郵船の元船長でもあり40年以上にわたって船舶運航に携わってきた著者の関根博氏が、安全運航を実現するための情報の1つとして、著名な海難事故を取り上げ丁寧に検討している。
全7章で構成されており、転覆・沈没、座礁、火災、衝突、走錨、人身事故と海難事例を網羅的に整理して、事故の概要や経緯、分析、裁判概要、再発防止策、教訓などを分かりやすくまとめている。さらに、船舶運航に関するマネジメントの在り方にも触れている。
海事産業の従事者、中でも海運会社で働く海上職・陸上職の運航部門の担当者にとって、海難事故を防止するための教科書的存在でもある点が高く評価された。
関根 博
1976 年東京商船大学商船学部航海科卒業、同年日本郵船入社、1994 年船長、2001 年NYK Shipmanagement(Singapore),General Manager、2003 年安全環境グループ長、2008 年常務経営委員、2011 年日本海洋科学代表取締役社長、2019年からトーマス・ミラー(UK P&I Club)。東京海洋大学経営協議会委員、神戸大学客員教授、東海大学非常勤講師、Nautical Institute,Fellow、日本航海学会終身会員を務める。
◆住田海事技術奨励賞
海洋建築研究会 編著
「海洋建築シリーズ 海洋建築序説」
体裁:B5判/ 172頁 定価:3,520円(税込) 発行:成山堂書店
本書は、海洋工学の1 つの分野であり建築学の新しい学問領域でもある「海洋建築」について概観した学術書となっている。2006年に発刊された「海と海洋建築」の改訂版に当たる。
海洋建築の全体像を「海と建築のかかわり」「の環境」「海洋建築の定義や特徴」「海洋建築を支える技術」「海洋建築の歴史とレガシー」の5つに分けて解説している。各章の独立性が高いため、どの章からでも自由に読み始めることができるほか、写真や図表が豊富で分かりやすい構成となっている。また、海洋建築を取り巻く最新の動向を捉え、洋上風力発電の構造物設計にも言及している。
学生だけでなく建築技術者にも有用な入門書であるとともに、海洋建築工学という学問体系の維持・発展、さらには脱炭素社会に向けた社会システムの構築にも貢献する内容である点が高く評価された。
海洋建築研究会メンバー
相田 康洋(日本大学理工学部海洋建築工学科助教)、居駒 知樹(東京大学生産技術研究所研究員)、惠藤 浩朗(日本大学理工学部海洋建築工学科准教授)、畔柳 昭雄(日本大学理工学部非常勤講師)、小林 昭男(日本大学理工学部特任教授)、菅原 遼(日本大学理工学部海洋建築工学科助教)、増田 光一(東京大学生産技術研究所協力研究員)
※編者の紹介および著者の経歴については書籍から抜粋し、海事情報事業グループでまとめています。
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